今更なのですが、アステリズムに花束をを読み終わりました。もう刊行されたの半年以上前だというのに最後のお話だけ勿体なくてなかなか読まなくて、ストップしてたんですよね。そして最近やっと読んで読み終わったので、こう振り返って感想を書いておこうと思います。
そうそう「アステリズムに花束を」というのはですね、わからない人にも簡単に説明すると、早川書房から出ているいろんな著者が執筆した百合SFの短編が載っている本です。百合=女性同士の関係性を描くものとSFというジャンルが融合しているわけですね。いろんな世界観だったり、時代・テクノロジーの中で、その世界における百合という女性と女性の関係性を紡いでいる短編集となっています。
”アステリズムに花束を” 感想
ひとまず個々のあれがどうだこうだという話をする前に、全体的な感想を書いていこうかと思う。
百合SF小説をしっかり認識したのが最近、というかSFマガジンで百合を特集したときに早川で百合なんだと思って驚いて気になったのだけど、すぐ売り切れたこともあって買わなかったのでした。
とはいえ元々SFは好きで読んでいたりしていて、百合SFの代表的なハーモニーとかも大分前に読み、最近は裏世界ピクニックのコミック版だったりRoidとかの百合漫画で百合SFを摂取していたので、アステリズムに花束をの刊行が決まったときには、買わなきゃなと思ったわけです。
そうして当初百合が目当てで買ったアステリズムに花束をですが、一通り読んでみると、百合作品として良かったのはもちろんなこととして、SF小説を読むってこんなに楽しかったんだなぁという再発見にもなりました。
各編感想
それでは話の中で書きたい話について逐次書いていこうと思う。
キミノスケープ 宮澤伊織
最初から度肝を抜かれた作品。何しろ百合だというのに出てくる明確な登場人物は一人だけ。主人公はまだ見ぬ誰かの痕跡をずっと追いかけていくのです。
最初のこの世界から誰もいなくなったというSF世界観の楽しさと明確な誰かというのは存在しないのに、その人に対する感情は確かなものだったりする面白さが、SF百合作品らしいなと感じさせてくれました。
四十九日恋文 森田季節
たぶんこの短編集の中で一番好きな作品。これを読んでるとき丁度ドトールにいたのだけど、人目も憚らず泣いてしまいそうになった。
死者に送れるメッセージ。これが一日ごとに一字ずつ減っていくわけだけど、最初は短歌にしてまわりくどい表現をしていたのが、文字数が減っていくごとにどんどんストレートになっていったり、行き違いがあったり、そして最後に行きつくやり取りが生々しくってすべてのやりとりが良い。
携帯端末からのやり取りだけで大好きな人との別れに向き合っていくのがすごく切なくて、心を揺さぶられる作品でした。
最後に
先にも書いた通りなのだけど、百合SF小説に興味をより持ったのはもちろんのことSF全体でもっといろいろ読みたいなと思った読書体験でした。
とりあえず、三体でもこのお正月は読もうかなと思います。
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