SF小説「三体」を読んでみて

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「アステリズムに花束を」を読んで、いいなSF読みたいなって気持ちになりまして、話題になっていた三体を読んだわけです。

三体の説明はこんな感じ。

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?本書に始まる“三体”三部作は、本国版が合計2100万部、英訳版が100万部以上の売上を記録。翻訳書として、またアジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。

中国発の世界的にヒットしたSF小説がようやっと日本語訳されたわけですね。

結構話題作だったので、どんなものかと読んでみたのだけど、実際に読んでみて納得。めちゃくちゃ面白いし魅力的で、早く続刊が読みたいって気持ちになってしまいました。

というわけで、いくつか魅力を挙げていこうかなと思います。

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歴史とSFの接続

一つは現実の歴史とSFの接続がとっても楽しいということがある。文化大革命とレイチェルカーソンの「沈黙の春」この辺の現実の歴史的事実上にフィクションがに展開し、この三体におけるSF世界の2015年:地球に接続していく。これによってこの三体世界における地球のリアリティがかなり感じられる。なんというか現状の世界線に並行して走っているもう一つの世界線のようなのです。

FGOやってる人には、こう三体文明が存在する異聞帯というとしっくりくるかもしれない。つまり歴史上のあるところで分岐したのものとしてリアリティがある。

このように感じられることで、SFだからといって私たちの世界から遠いというわけでなく、かなり現実的に感じられて楽しい。

SF設定の楽しさ

魅力の一つとして、SF設定そのものがとっても楽しいってことがある。

現実に存在する三体問題だったり、ナノマテリアルだったり、素粒子論だったり、今存在する科学がひょっとして発展していくとこうなるんじゃないかというものが一杯ある。

この現実からの距離感がちょうど良くて、フィクションとしての現実的でありながら与太話のとんでもなさを楽しむことができるというとんでもないバランス感覚だったりする。

いやぁ”SF”を読む楽しさってこういうことですよねって気持ちにさせてくれる。

視点をぐらぐらさせられる感覚

この作品を最初に読んでいくと感じるのが、この作品はどんなイデオロギー的な立ち位置で読んでいけばいいのか、読めば読むだけわからなくなる。

簡単に言うと、環境を守るべきだって言う主張と異星人から地球を守ろうって人たちが対立していて、その両者の視点がころころと変わって、どちらも正しいような気がしてくるし、なんだか主張がちゃんと対立しているかというとそうでもない。

こんなあやふやな立脚点において読んでいくので、この一部を読んだ後も、どういうような立場でいればいいのかが良くわからない。いやどこの立脚点にも立たない方がよいのだろうけど、なんだかとても居心地が悪い感じがある。

このポイントもひどくイマを代表している気がして、この感じも悪くないなと思うし、魅力的だとも思う。

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最後に

というわけで、いくつか魅力を書いてみたけどこれだけに収まらない魅力があるので、ぜひ読んでほしい。2020年に入った今だからこそ楽しめるものが一杯あると思うので、おすすめです。


      

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