最近読んだ本紹介【黒牢城/月は無慈悲な夜の女王】

スポンサーリンク
SNS

めちゃくちゃ今更なんだけど年末にかけて読んだりした本について書いていこうかと思う。久しぶりにじっくり本を読む時間があって良かったのと、今もちょこちょこ読んてるのでちょっと習慣になったのかもしれない。

スポンサーリンク

黒牢城

 一月に入ったと思ってたら気づいたら直木賞を取ってた作品。米澤穂信で戦国時代のものだと知ったので興味本位で買ってみた一冊。

 荒木村重が主人公で、黒田官兵衛を幽閉している有岡城でおきる様々な怪事件を解決していくというお話。 米澤穂信らしく事件を起きてなぞ解きをしていくミステリー作品であるのは変わらないのだけど、そこに城の内政とか戦争とか政治的なサスペンスを持ち込んでいるのが今作の特徴だろうか。

 一通り読んだけど、うわぁ~時代物が好きで司馬遼太郎とかよく読む高齢ビジネスパーソンが大喜びしてそう~という印象でしたね。もちろん自分もそういうの嫌いじゃない(司馬遼太郎とかめっちゃ呼んでた)けどなんというか好きというより良くできてるなぁという感覚が強かった。

  あまりメジャーとは言えない 荒木村重を主人公として面白く見せる手腕だったり、史実とフィクションの混ぜ合わせ方も実に見事でうおお~と感嘆してしまった。あと時代物として当時の描写が丁寧で、ずっと時代物書いてる作家だったっけと思ってしまったし、そこがミステリーの臨場感を生んでて大変良かった。もちろんミステリー作品としてもよくできてるし、ミステリーの細部というよりその事件が起こしたあとの影響にフォーカスされているのは米澤穂信らしさをちょっと感じた。

 ミステリーをやっていく上でミステリーの一ジャンルでやっていくのではなくそこに他ジャンルと掛け合わせることで読者を広げていこうという試みが上手くいった例なんだろうなと思う。そしてそれはライトノベルのミステリー作品であった氷菓と同様だったのかなとも考えた。

月は無慈悲な夜の女王

黒牢城 が読み終わって次に読んだのがSFのこの作品。簡単に言うと月を管理する超高性能のAIと友達になった主人公が、気づいたら地球からの月独立運動の中心人物になっていくという話。AIを軸としていかに月の自治を獲得するか、地球連邦政府と交渉するんかという革命政治劇が主になってくる。

 これガンダムの元ネタの一つでもあってずっと気になるなぁ~って感じだったのですが、今読んでも全然面白い。不朽の名作とはこういうことを言うのかもしれないですね。特に月という環境で生活も何もかもがAIにコントロールされているのがICTぽくて題材としての古さを感じない。AIと主人公の友人関係がめちゃくちゃいいんだよな。AIに倫理観が無で主人公との友情のために無邪気に革命に参加するのが大変かわいらしい。犯罪とかもお構いなしで銀行のデータを改竄して資金調達したり、高性能AIでやりたい放題するぞ感があって最高です。読んでてびっくりしたのは作中に全然女王は出てこない。どうやら月の厳しい環境が人間を育てるということらしい。(原題は月は厳格な女教師)

 あと作中多夫多妻の独特な結婚制度が出てきて、どういう感覚なのか核家族やし全然ワカランねぇ~と思ってたのだけど、その夜に実は自分に母親違いの姉がいるということを知らされたのがめちゃくちゃ印象的だった。多分このタイトルを聞いただけで今後もあの夜のことを思い出すのでしょう。不朽の名作を読んでしまったのが仇になった可能性がありますな…。

最後に

以上が年末読んでた2冊になるが、どっちも大変面白いので読んでみてはどうでしょう。今は何故か情勢も相まってロシアの戦略事情の新書読んだり、ロードエルメロイの新刊を読んでたりしてる。多分また読み終わったころに更新するかもです。

コメント